集英社は『火星のプリンセス』を２種類刊行しているのですね。これは少女向けのマーガレット文庫。「文庫」と称していますが文庫本ではありません。『赤毛のアン』や『足ながおじさん』と『火星のプリンセス』が並んでいるのはなかなかの見ものです。口絵はもう一つの集英社版と同じシーンです。後ろの空飛ぶ円盤は余計でしょう。
デジャー・ソリス登場の場面の訳文がなかなか面白いので引用します。

『顔はおもながで、なんともいえないほどうつくしく、けだかいのです。目はなだちは、ひとつひとつ、ほりがふかく、つぶらな目は、かがやいています。まっ黒なかみを、かわったかたちに、ゆいあげていました。むらさき色の、きぬのような、ころもをみにまとい、黄金のかんむりを、つけていました。はだはすきとおるような、ピンク色をしています。』

前半、なかなか原作に忠実な訳なので驚きますが、後半は完全に創元版の表紙の武部ソリスの描写であるところがほほえましい。やっぱり少女向けには「一糸まとわぬ」はまずい、という判断でしょうか。少女向けと言えばジャニーズ系のジョン・カーターもそうですが、ソラがまたカワイイのでご紹介しておきます。冒頭の登場人物紹介のページから。