第１章
ボブ・ズーシュナー Bob Zeuschner

　著者が黴の生えた古ぼけた写本の中に埋もれたこの物語に出会ったのは、ヨーロッパの古色蒼然たる僧院を訪ね歩いているときであった。それは失踪したイングランドの王子リチャードにまつわる物語である。
　１３世紀のイングランド、ヘンリー三世の宮殿で、ヘンリーは彼の有力な義弟であるレスター伯シモン・ド・モンフォールと口論する。ド・モンフォールは、ヘンリーが臆病者であることをほのめかす。激怒した王はその１時間後、宮廷のフランス人剣術指南役であるサー・ジュール・ド・ヴァックを相手にその怒りをぶつける。ヘンリーはほとんどド・ヴァックを破るかにみえたが、最後には、剣術指南役は巧みに王の武器を奪ってしまう。ヘンリーは、ド・ヴァックを侮辱して、彼を打ち、唾を吐きかける。王であるヘンリーに逆らうことのできないド・ヴァックは、その屈辱をいつかかならず　−　ヘンリーだけでなくイングランド全体に対して　−　晴らすことを自らに誓う。

第２章
ボブ・ズーシュナー Bob Zeuschner

　ド・ヴァックへの王の侮辱の３日後のこと、レディ・モードが王の庭で３歳のリチャード王子とボール投げをしている。庭を見渡す兵器庫の窓から二人を見下ろしていたド・ヴァックの胸に、そのとき恐ろしい計画が具体化する。

第３章
ボブ・ズーシュナー Bob Zeuschner

　１ヶ月にわたってド・ヴァックはリチャード王子とレディ・モードのことを調べる。彼は庭の鍵を手に入れ、そして、ほど近い町にいる、妹を自称する老婆ティルと、あるものを小屋に隠す段取りを付ける。彼は包みを受け取り、小舟で王の庭の塀際までテムズ川をさかのぼる。レディ・モードはリチャード王子が遊んでいる間、恋人を迎えるために庭の木戸を開ける。ド・ヴァックは庭の木戸から王子を誘拐しようとする。子供は叫び、ド・ヴァックはレディ・モードと彼女の愛人を殺す。彼らの死体は１時間後に発見されるが、王子は消えている。２日間ののち、ド・ヴァックの失踪が発覚し、王はド・ヴァックが王の息子を誘拐したと結論を下す。イングランドのすべての子供に対して、証拠となる左胸の百合型の痣が無いかどうかの調査が行われるが、それでも王子は見つからない。リチャード王子は、彼の叔父、シモン・ド・モンフォールのお気にいりだったので、誘拐された子供の捜索をイングランド中で行うために、ド・モンフォールと王は和解する。

第４章
ブルース・セイレン Bruce Salen

　老婆に変装したド・ヴァックは、子供を古着の下に隠して、ロンドンの古びた嫌な匂いのする一画に向けてテムズ川を下る。ドックの下に隠れている間に彼は、ド・モンフォールがその率いる捜索隊に「これから重要な情報を持っている老ティルに会いに行く」と話すのを聞く。ド・ヴァックは、ティルに用意させた部屋に急いで王子を連れて行く。そしてそこに少年を残し、ティルのところへ行く。彼は出掛けようとしている彼女を見つけ、一緒に歩く。歩きながら彼は、後ろから彼女の心臓に短剣を滑り込ませ、そして命のなくなった彼女の体をテムズの川底に沈める。こうして、誘拐された王子を見つけ、救い出すための最後の希望も失われてしまう。

第５章
ブルース・セイレン Bruce Salen

　３年間、ド・ヴァックは老婦人に変装したままで「王の宮殿から石を投げれば届くほどの距離」にある小屋で彼の誘拐した子供と暮らしている。その３年の間、「彼女」はその少年に３つの事だけを教える。それはフランス語、剣術、そしてイングランドのすべて、特にイングランド王室に対する憎しみ、である。そしてド・ヴァックは、トーン城と呼ばれるダービシャーの古い城を買う。少年の教育は、彼が１０歳に達したときに２つの新しい科目を追加して続けられた。それは馬術と英語であったが、その英語は極めてフランス的なアクセントを持ったものだった。彼が１５歳になったある日、３人の武装した騎士が城に隠れ場所を求めてやってくる。ド・ヴァックは、不本意ながらしぶしぶ隠れ場所を提供する。ド・ヴァックと少年が食事を運んだとき、３人の騎士はド・モンフォールがヘンリーの法外な悪政に反対する人たちを率いていることを明かしつつ、王国の政治上の不穏を議論している。騎士たちは、少年がヘンリーの息子であり相続人であるエドワード王子にそっくりであることに気づく。彼らは、彼の左胸に王家の痣があるかどうか確かめるために上着を取るように彼に求める。彼はそれを断り、彼らひとりずつに決闘を挑む。３人はみな簡単に片づけられてしまう。ド・ヴァックと少年は、３人の客の所有物によってより裕福になる。ド・ヴァックは少年に「トーンのノルマン」という名前を与える。

第６章
ブルース・セイレン Bruce Salen

　ド・ヴァックは、ノルマンに槍および戦斧の使い方を訓練し、彼の剣術に磨きを掛ける。少年はすぐに、剣術で彼の師匠をしのぐようになる。ノルマンはしばしば遠乗りをし、すぐにトーン城の５０マイル以内にあるすべての脇道を知るようになるが、その範囲には彼が友情を感じるようになったクロード神父の司祭館もある。クロードから、ノルマンはラテン語の会話と、フランス語、英語、そしてラテン語の読み書きを習う。また彼はその司祭から、他者の権利に尊敬を払うこと、貧者や弱者を守ること、神を敬うこと、そして「男子の存在理由はまずもってご婦人を守ることである」ことを学ぶ。あるとき彼らが話していると、６人の悪漢が強盗の目的で司祭館に侵入する。ノルマンは剣を抜いて手っ取り早く親玉を片づけると、５人の子分　−　赤毛のシャンディ、ジョンとジェイムズのフローリィ兄弟、一つ目のカンティ、隠者ペテロ　−　を一人で追いかけ、武器を取り上げ、捕らえる。ノルマンは彼らを自分の配下とし、彼らを団結させる　−　貧者や弱者を助け、ご婦人を守るためにわが身を投げ出し、そして金持ちのイングランド人を餌食にしてイングランドの王を悩ませるために。こうして生まれたトーン党は、あっというまに１０００人の戦士を擁するようになり、王に反抗し、ド・モンフォールをイングランドの事実上の支配者に押し上げる勢力になる。

第７章
ボブ・ウッドリイ Bob Woodley

　ノルマンは１９になる。トーン城は生まれ変わる。ノルマンは近隣の貧農を無法者から守ることで彼らの英雄となる。彼の、これら農民に対する親切な取り扱いは、ド・ヴァックの態度と鋭く衝突する。ノルマンは、彼が彼の父の手駒なのかどうかをクロードに尋ねる。クロードは、彼の兜の面覆いを下げたままにしておくようノルマンに注意する。戸外の戦いと誘拐事件が彼らの話を妨害し、ノルマンはそれを追跡する。誘拐した騎士は、ノルマンが兜をはずしていたために、彼をエドワード王子と間違える。彼が戦うところを、少女、ド・モンフォールの娘ベルトレードが見つめる。彼女は、ノルマンに彼が王子とそっくりであることを告げる。彼は彼女をド・ステュートヴィル城まで護送する。彼はロジャー・ド・コンドという変名を使う。彼は身元を隠したままで彼女と語り合い、その中で彼女の誘拐を命じたコルファクスのピーターの首を持ってくることを約束する。そして、何があろうと彼女は彼の友であるという約束を彼女から得る。彼女と３日間を共に過ごした後、彼は、少女との間に生まれた愛に気づかないまま去っていく。そして彼女も去っていく無法者にキスを投げる。彼は自分が王子に生き写しであることの意味をまだ理解していない。

第８章
ジョー・マクマホン Joe McMahon

　クロード神父はトーン城を訪れる。彼は、赤毛のシャンディに会って、ノリッジの司教の一行に対する襲撃のことで彼をたしなめる。司教のまわりの「誘惑」は、秘蔵のワインも含めてすべて没収された。神父とシャンディはそのワインを酌み交わす。司教は裸にされ、ロバに後ろ向きに乗せられて解放され、また司教の家来は、このような悪い一味に加担した廉で（ノルマンに）鞭打たれたのだ。ド・ヴァックが二人のところにやってきてノルマンの居場所を尋ねる。クロードは彼に、彼がド・モンフォール家の娘をコルファクスのピーターの家臣から救ったことを話す。シャンディが去ったあと、ド・ヴァックは、ノルマンにラテン語、騎士道、それに宗教の教育を与えたことについて司祭を問詰する。彼は、これらの科目が、将来首の回りにロープを巻き付けて絞首台に立つはずのノルマンには何の役にも立たないと主張する。ド・ヴァックは司祭に、彼らの間にはこれからは憎しみしかないだろうと告げ、そして司祭は、自分がド・ヴァックとノルマンが赤の他人であると信じていることを伝える。ド・ヴァックは去る。トーンのノルマンが（司祭の小屋に）入ってくると、司祭は彼の無法者としての生き方を叱る。ノルマンは彼に 、今のような生活から離れることを夢見ていると語る。しかし彼は、それが遅すぎたこと、そして唯一の終わらせ方は絞首台のロープの端にしか無いと言うことを司祭に思い出させる。クロード神父は、彼にフランスに行くように勧める。ルイの宮廷なら彼は歓迎されるだろう。しかしノルマンは、もうしばらくの間イングランドに残らなくてはいけないと言う。

第９章
ジョー・マクマホン Joe McMahon

　ベルトレード・ド・モンフォールとメアリ・ド・ステュートヴィルは、３週間の訪問の後、別れる準備をする。彼女たちはしばしばロジャー・ド・コンド（ノルマン）のことを話す。ベルトレードは家に帰ることを望むが、メアリは、彼女がわずかな護衛しか連れない道中でトーンの悪魔に遭遇することを恐れる。ベルトレードは、自分を守るためにロジャーが現れることを願う。コルファクス城ではピーターがド・ヴァックと会談して、ベルトレードが明日旅立つことを知らされる。ド・ヴァックは彼に、もしコルファクスが彼女を連れていかなければ、自分が娘を殺すだろうと話す。コルファクスは同意するが、その後で、忠実な部下に、その老人が裏切りの素振りを見せれば彼を殺すようにいう。ベルトレードは５人の騎士を連れて出発するが、すぐにコルファクスの手のものに攻撃される。彼女の護衛は殺され、彼女は逃げる。ド・ヴァックは追跡するが、彼女は、道に張られたロープに体を打ちつけて死んだようになってしまう。ベルトレードがコルファクス城に運び去られたあと、ド・ヴァックは死んだ騎士の頭にトーンの印をつける。妹を探していたアンリ・ド・モンフォールは、騎士の死骸を見つけ、ノルマンへの復讐を誓う。コルファクスは、ベルトレードに彼の妻になるか愛人になるかの選択を迫る。彼女はそれを断ったため、理性をとりもどすためとして、老婆と一緒に閉じ込められる。彼女は、部屋で老婆を打ち負かし、自ら部屋に閉じこもる。結局は彼女は寝入ってしまい、老婆はコルファクスのためにドアを開ける。彼女は大いにピーターを侮辱するので、彼は彼女を辱めようと部屋から引きずりだす。

第１０章
ジョー・マクマホン Joe McMahon

　ノルマンは略奪の生活に戻る。彼は、休戦の旗の下に彼の門でアンリ・ド・モンフォールに会って驚く。アンリは、ノルマンを、ベルトレードの誘拐と護衛の殺害の廉で追及する。ノルマンは、自分は女性には危害を加えないと言ってこれを否定する。アンリはノルマンを信じる。直ちにノルマンは５００人の手勢と共にコルファクス城に出発する。深夜までに彼らは着く。ノルマンは城への秘密の通路を知っており、まさにコルファクスがベルトレードを部屋から引きずり出すところに到着する。コルファクスは人を呼び、彼らはノルマンを攻撃するが、彼は容易に彼らを殺す。そして、コルファクスが彼を後ろから刺そうとするので、ベルトレードは腰かけを投げつけ、コルファクスを打つが、倒れるときに灯りも消えてしまう。コルファクスは逃亡する。ノルマンは彼の面覆いを下げたままベルトレードに自分が誰であるかを話す。彼女は恐れるが、彼は彼女の安全を保証する。コルファクス城は、その主を求めて捜索され、火を放たれるが、略奪はされない。ド・モンフォール城で、アンリはノルマンが嘘をついたと追及し、双方の剣が抜かれる。ベルトレードが間に割って入り、説明する。アンリは手を広げて進み出るが、ノルマンはアンリへの敬意からそれを辞退する。ベルトレードは手を差しだし、ノルマンは永遠の忠誠を誓ってひざまづく。ノルマンが去るとき、アンリは、彼らが彼の手をとるべきでなかったかをあれこれ考える。

第１１章
ロバート・バロウズ Robert Burrows

　ノルマンはド・モンフォール城をロジャーとして訪れる。そこでの交流は、心のこもった行き届いたものだったが、ド・モンフォールは彼がエドワード王子、そしてまたトーンのノルマンになんと似ているかと言うことに注目する。ノルマンは数日の間逗留し、家族と親しくなる。ベルトレードとノルマンは幾たびか親しく会話を交わすが、ノルマンには、彼の王家の血筋とイングランドへの憎しみの間に葛藤がある。ノルマンが城を去るとき、彼はベルトレードと親密な束の間を過ごして口づけを交わすが、ノルマンは引き下がる。ノルマンはベルトレードに、彼が彼の過去のために彼女と恋に落ちることができないと話す。しかしベルトレードは彼に、彼女が彼を愛していること、そして自分が待つことを告げる。ド・モンフォールは彼らの会話をもれ聞き、怒って部屋に押し入ってくる。そしてベルトレードはフランスのフィリップ王子と結婚することになっているのだと言う。ノルマンは、ベルトレードに結婚の申込をしてなどいなかったと心にもないことを言う。ノルマンが城を去るとき、ベルトレードはオパールの指輪の包みを彼に向けて落とす。ノルマンがその指輪に口づけし自らの指を通すことで、 彼らはお互いの愛を誓い合う。

第１２章
ロバート・バロウズ Robert Burrows

　ド・モンフォールはフランスにベルトレードを遣わす。ノルマンは、ベルトレードへの報われぬ愛に気づき、イングランドの田園地帯を略奪し続ける。ノルマンは、ベルトレードに彼が誰であるかを告げる日の来ることを望む。ノルマンはクロード神父と会い続けている。スペイン人スピゾはド・ヴァックのためにノルマンとクロードのことをスパイし続けている。スピゾはノルマンがド・モンフォールと会おうとしていると報告する。これはド・ヴァックを怒らせる。彼はクロードを訪れて会合の中止を納得させる。ノルマンは１０００騎を引き連れてロンドン略奪に向かう。彼らは１０人の騎士と２人の婦人に遭遇する。騎士の長であるリチャード・ド・タニイは、彼が妹ジョアンとその友人のメアリ・ド・ステュートヴィルと一緒であると告げる。ノルマンは彼らを通過させる。ロジャーとしてノルマンはド・タニイ城を訪れ、ジョアンとメアリに会う。彼らはベルトレードへのロジャーの愛について語り合う。ノルマンは自分の過去との葛藤にしばしば悩まされる。彼は、数日逗留してジョアンと「友だち」になる。ジョアンはロマンスを求める。メアリは警告する。兵隊たちが田園地帯を荒らしまわっているにもかかわらず、ジョアンはロンドンで買物をしたがる！ノルマンは反対するが効果は無く、護衛として彼女に同行することになる。裏切り者が、ロジャーが実はノルマンであることを明かす知らせをロンドンに送る。途中で一行はバッキンガム伯爵ジョン・ド・ファルムの一隊と鉢合わせする。一行は数で凌駕されていたが戦う。メアリは安全に逃がされる。ジョアンはそこに残り、意識を失ったノルマンの命を身を挺して守る。彼らはド・ファルムに支配されている近くの城に捕虜として引き立てられる。

第１３章
ロバート・バロウズ Robert Burrows

　ノルマンは鎧のみ身につけた状態で城の塔で目覚める。彼は出口を捜し求める。塔の窓から彼はジョアンを騎士が追いかけているのを見る。ノルマンは誰かが彼の牢に近づいてくるのを聞く。彼は隠れ、そしてその男を襲って逃げ出す。ノルマンはジョアンの居る部屋を見つけ、ド・ファルムとジョアンが争っているところに踏み込む。ノルマンとド・ファルムが戦っている間に援軍がやってきて、ジョアンとノルマンを隅に釘付けにする。ジョアンは、城の隠された通路を思い出し、彼らは秘密の通路の入り口である隣の部屋に逃げる。ド・ファルムの手の者がほかのところを捜しに行くまで、彼らは隠れる。通路の暗がりで待つ間、ノルマンとジョアンは肩を寄せ合うが、ノルマンは、ジョアンの「友情」と彼のベルトレードへの愛に再び悩む。ジョアンは秘密の通路を下り、城の地下室を通ってノルマンを導き、やがて外に出る。ジョアンはくじけそうになり、ノルマンは彼女を抱えて原野を逃げる。武装した男が彼らの前に現れるが、ノルマンは彼らが自分の部下であることに気づく。彼は、自分の身元を隠したままその男たちと共にド・タニイ城に戻る。ジョアンは、彼が以前、彼女に自分は英語を話さないと言っていたのにもかかわらず赤毛のシャンディには英語で話すのを聞き、何か訝しいものを感じる。彼らの到着は城で歓迎されるが、ノルマンはド・ファルムおよびその一党と対決すべく、早々に辞去する。ジョアンはロジャー・ド・コンドがトーンのノルマンと同一人であることに気づく。

第１４章
デオン・ベズウィック Deon Beswick

　ノルマンは１０００人以上を近くに伏せた上で、５０人をド・ファルム城へ率いて行った。彼らは秘密の通路を通って城に入った。城は、１人の老人がいるだけで空っぽだった。その男はド・ファルムがドーバーに向けて出発したことを漏らす。怒りにかられたノルマンはケントのあたりまで追う。そのとき、主人を裏切った下僕が、ド・ファルムが近くの領主の妻を訪れていることを明らかにする。ノルマンはシャンディと８人の男を選んでその場所に急行する。その下僕は見つかることのない入口を教える。ノルマンはジョアン・ド・タニイにしたことについてド・ファルムと対決する。彼は決闘して彼を殺す。その時、レイボーンの領主が家に戻り、彼の（妻の）名誉を救ってくれたことをノルマンに感謝する。次の日、ノルマンはトーンに引き返す。途中で、彼はある一行に対する暴徒の攻撃を阻止する。一行は共にいる女性が王妃であることをうち明けて彼に感謝する。彼らは彼がトーンの無法者であることを知ってショックを受ける。トーンの無法者とその母は２０年を経て再会し、そして別れる。２日ののち、ノルマンはシャンディと別れてド・タニイ城へ回り道をする。近くにいる王の軍隊に、ノルマンの行動予定を知らせるメッセージが届けられる。それを知らずにノルマンはジョアンとの会見を待つ。ジョアンは彼に友情のみを差し出す。彼は、彼女への奉仕を剣に誓う。ノルマンは去る。彼はベルトレードのことを思い続けている。ジョアンはノルマンを捜してやってくる王の軍隊に嘘の指示を与えると、無法者を愛してしまったことを泣きながら母に告げる。いかなる慰めも希望も見つけられずに、彼女はその夜自らの命を絶つ。

第１５章
デオン・ベズウィック Deon Beswick

　ジョアンの死の知らせがノルマンに届き、彼の騎士達は彼女の亡骸をその墓所まで護送する。その後、トーンの軍勢は本拠地に戻る。ノルマンは「わが良き神父」がド・モンフォールらとレスター城において重要な用件で会おうとしていると明かしたことに関心を持つが、それをド・ヴァックには知らせないことをクロードに約束する。ノルマンは、周辺の領地の王党派を略奪し続ける。彼とその一党は飲んで騒ぐことで冬を過ごす。クロードは、リチャード王子の運命を確かめたいという決意を述べた知らせをド・モンフォールから受け取る。スピゾはこれをド・ヴァックへこっそり知らせる。王の使者がノルマンを訪れ、もし彼がド・モンフォールおよびその同盟者と戦えば恩赦を、さもなければ死を与えると告げる。ノルマンは、使者に無理矢理親書を食べさせて王の元に送り返す。ヘンリー王は激怒する。また、別の知らせが、ベルトレードがイングランドに到着したということを告げる。ノルマンは彼女に会って自分が誰であるかを明らかにすることを誓う。ド・ヴァックは、クロードがまだ彼の疑念をノルマンに明かしていないと知って、その夜神父を訪れる。ノルマンとその軍勢は出発の準備を終える。ド・ヴァックは彼に、クロードが遠くに呼ばれて行ったと話す。ノルマンは出発する。ド・モンフォールは空っぽになった城下に到着してクロード神父の亡骸を見つけ、失踪した王子を見つける可能性が消え去ったことを知る。

第１６章
デオン・ベズウィック Deon Beswick

　トーンのノルマンとその軍勢がドーバーに向かって南進する頃、ド・モンフォールの軍隊はヘンリー王の立てこもるルーイスに向かって進む準備をする。領主側の軍隊は、気付かれないまま都市から２マイルの地点に達する。王党派は、今にも攻撃が行われると言う疑念をいささかも持たずに、酔って夜通しばか騒ぎをしている。哨兵は捕えられたが、物資徴発部隊の生き残りが王の軍隊に急を告げる。エドワード王子の部隊はロンドン市民軍を攻撃して潰走させるが、ローマ王とその息子の指揮する王党軍の左翼は、アンリ・ド・モンフォールの断固とした抵抗に会う。中央部の戦いでは、徐々に王党軍が優勢となる。そこにノルマンの軍が到着して形勢を覆す。ド・モンフォールとノルマンは、ローマ王を破った後で会う。ノルマンは、自分がド・モンフォールの娘との友情のみのために戦いを助けたことを説明する。シモンは冷ややかに応える。

第１７章
スタン・ギャロウェイ Stan Galloway

　ノルマンの軍は都市の略奪に加わらない。彼らはレイボーン城に向かい、密かに入城する。ノルマンは宴会を中断し、コルファクスが客の中から出て彼と闘うべきだと要求する。ノルマンは決闘で彼の首をはねて、その首を持ち去る。

第１８章
スタン・ギャロウェイ Stan Galloway

　ノルマンとその手下はベルトレードに会いに行く途中でフィリップ王子を呼び止める。彼らは同行することに同意する。ノルマンと彼の軍は、王がベルトレードの父とともにいる都市の外に止まる。ノルマンは、ベルトレードにメッセージを届けてくれるようフィリップに頼む。メッセージは、彼女に密かに彼と会ってくれるように依頼するものである。フィリップはまた、ヘンリー王にノルマンが近くに露営していることを教えてしまう。ド・モンフォールと王は、彼を捕えて吊すことで合意する。ド・ヴァックはコルファクスの首の番をしていたフローリィを殺してそれになりすまし、ノルマンとベルトレードとの密会の場所に付いて行く。ノルマンは、首をベルトレードに差し出して、彼が誰であるかを明らかにする。ベルトレードは感情のぶつかり合いに身を引き裂かれる思いをするが、それになんとか解決を見出すと、愛を告白し、その夜、彼とともに旅立つことを約束する。

第１９章
スタン・ギャロウェイ Stan Galloway

　ド・ヴァックはベルトレードの告白を立ち聞きすると、ノルマンを密告するために王のところへ急ぐ。ド・ヴァックは、ノルマンがベルトレードを待っている場所に王とド・モンフォール、それに２０人の戦士を連れて行く。彼らを避けようとして、ノルマンはレディ・ド・モンフォールおよび王妃の部屋に入り込んでしまう。ド・ヴァックは彼を息子ではないと言い放つ。彼らが連行しようとするので、ノルマンはそのうち３人殺すが、そこにベルトレードが現れ、彼の前に身を投げ出す。彼女は、彼らすべての前で（ノルマンへの）愛を宣言し、そしてフィリップも彼女と共にノルマンの前に立つ。兵士たちは急に襲いかかり、ベルトレードとフィリップを（ノルマンから）引き離す。ド・ヴァックは決闘でノルマンを殺す権利を主張する。嵐のような戦いの後で、ド・ヴァックは、彼の足を攻めて死体に躓かせ、必殺の突きを加える。しかし、その同じ瞬間に、ノルマンの剣がまともにド・ヴァックを撃つ。ド・ヴァックは死にかけながらも、ノルマンが死んだと信じて、王にノルマンの胸の証拠の痣を見つけるように言う。ド・ヴァックは死ぬ。王はしるしを見つける。王妃は深く悲しみ、その場所に接吻して、彼の心臓がまだ脈打っているのに気付く。ノルマンは、王妃が彼の手を握り、王が彼の体を支える中で目をさます。後日、ノルマンは充分に回復し、自分の血筋のことを聞かされる。彼はベルトレードの所に行き、彼女がまだ彼のことを思っているかを聞く。彼女は言う。彼が「王子であっても追いはぎであっても」自分は愛していて、彼との結婚を望んでいる、と。

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Produced as an on-going summary project by the members of Edgar Rice Burroughs Listserver, an Internet subscription E-Mail discussion group, November, 1998.