対訳「火星シリーズ」名場面・決め台詞

第４巻「火星の幻兵団」より

【大団円の場。愛するスビアをクーラン・ティスのもとに残して去ろうとするカーソリスに、スビアが告げる禁断の愛の告白】

『王女は顔を手で覆った−目の前の大きな誘惑を見まいとでもするように。
「父祖のみ霊、お許しください」スビアは、たえかねたように叫んだ。「いってはならぬことをいおうとするこのわたくしを。でもあなたが世を捨てようとするのを黙って見てはいられません。カーソリス、行かないでください！わたくしはあなたのものです、行ってはいや、愛しているのです！」』
（「火星の幻兵団」創元版Ｐ．２３５。小西宏訳）

『王女は顔を手で覆った−目の前の大きな誘惑を見まいとでもするように。
「祖父のみ霊、お許しください」サビアは、耐えかねたように叫んだ。「口にしてはならぬことをいおうとするこのわたくしを。でも、あなたが世を捨てようとするのを黙って見てはいられません。ヘリウムの王子カーソリス！行かないでください！わたくしの族長様。行ってはいや−愛しているのです！」』
（「火星の幻兵団」創元合本版Ｐ．１９９。厚木淳訳）

The girl put her hands before her eyes, as though to shut out some mighty temptation from her sight. "May my ancestors have mercy upon me," she cried, "if I say the thing I have no right to say; but I cannot see you cast your life away, Carthoris, Prince of Helium! Stay, my chieftain. Stay - I love you!" .

• 小西訳と厚木訳が微妙に違う場面ですので、３つ併記してみました。わざわざ改訳するくらいですから、さすがに厚木訳の方が原文に近いですね。
• でも二番目の「Stay」を「行ってはいや」と訳すのはやっぱりすごいな。
• 第４巻は第１巻と比べて原文を引きたい場面がここくらいしかありません。私の思い入れの差かも知れませんが・・・。
• リクエストがありましたらどうぞメールにてお寄せください。
• 厚木訳を合本版のものに変えてみました(1999.10.23)。冒頭の「祖父」というのは誤植じゃないかなあ。

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