エースブックス三分冊の第三部「ブラッドリーの物語」。
キャスパックシリーズはこの第三部に至ってガラッと様子が変わります。この異世界性の斬新かつ強烈なことはバローズの他の作品にも類を見ません。一、二部では、進化のしくみに工夫があるのは確かですが、進化＝向上という当時の考えに染まっている上に、ストーリー上もそれほど発想を生かし切っているとは思えません。畢竟、ペルシダーやターザンの世界に組み込まれてしまうような気がします。それらにも「進化の各段階の人類」は同時に登場しますからね。
それに対してこの第三部！　ここではもうそんな進化の云々と言ったところから脱して、別の言い方で言えば理屈のたがをはずして、思い切り強烈なイメージが炸裂しています。奇怪な有翼人、骸骨に覆われた街、縦横に巡らされた地下道・地下水路・・・めくるめくようなバローズの幻想世界がここにあります。

［エースブックス版（＃２）］
［デル・レイブックス版］

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